研究概要 |
1.広くピューリタニズムの変容を調べるに当たり、ディキンスンが当時書き送った手紙を翻訳することで、彼女の自然観・宗教観・社会観を検討した。それらの手紙とは、(1)文芸評論家T.W.Higginsonへの手紙、(2)親友であった新聞社主筆Samuel Bowlesへの手紙、(3)晩年の恋人であったLord判事への手紙、(4)学校時代の友達、兄、妹や従妹たちへの手紙である。 2.フルブライト研究員に選ばれ、ブラウン大で2001年に学んだ時の、St.Armand教授の助言を得て、Paul Ferlazzo, Emily Dickinsonの翻訳を進めて来た。 3.近い将来、ディキンスンの伝記を書く目的で、ディキンスンに関する年譜を整備した。 4.難解なディキンスン詩の翻訳がまだ十分でないわが国の事情に鑑み、秀詩100を翻訳し、発表した。また詩の特徴とその読み方例を示すことで、D詩への案内の役を果たした。 5.アマースト大学のカリキュラムを調べることで、当時の教育が地学や農政学等実利的科学に重きを置く反面、正統的キリスト教を重視した宗教的な色彩の強いものであることを確認した。 6.今後は19世紀アメリカと同時代のイギリスの文化・宗教との連続性の研究の必要性を痛感し、現在、伝統と反伝統の立場から研究中である。
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