研究概要 |
本年、三人の共同研究者は、当研究の報告書作成に向けて、昨年度に行なった調査・研究の分析を行なうとともに、新たにアメリカでの調査も実施することにした。以下が各研究者が個別に行なった(あるいは間もなく行なう)研究の内容である。 まず、平石妙子は、平成14年4月から9月までUC, DavisおよびStanford大学で研修を行い、アジア系アメリカ研究の動向や新たな方向性などを、両大学の研究者との交流やシンポジウムなどの参加を通して学んだ。また、本プロジェクトのテーマに基づき、資料収集や調査を行なった。特にStanfordのHoover研究所には日系移民関係の資料が豊富にあり、それらを検討することで、とりわけ2世女性作家の戦前から戦後にかけての創作活動の変容を検討した。作家インタヴューとしては、Wakako Yamauchiに異人種間結婚や多文化主義などに関して意見を聞くことができた。 次に、河原崎やす子は、昨年代表者であったゲイル・サトウが今年度ハワイでの在外研究で1年日本を離れることになったため、代わって加わることになったのだが、本年はまずこれまで他の研究者たちが集めた資料を解読・分析することを助け、さらにジェンダー視点によるアジア系アメリカ文学における日系女性の位置付けを試み、歴史的なジェンダー抑圧構造は今や流動、混血、越境という概念に表出されているを明らかにした。 最後に小林富久子も同様に、昨年秋2ヵ月に亙ってカリフォルニアに滞在して集めた資料を分析・解読した。さらにこの3月15日からは主としてUCLAのAsian American Centerに赴き、資料収集と調査を行なう予定である。その際、Velina Hasu Houston, Traise Yamamotoという2人の日系女性作家に異人種間結婚及び日系コミュニティの多文化化についてインタヴューをすることに決めており、すでに両者の同意を得ている。なおこのインタヴューには河原崎も同道、共同インタヴューを行なう予定である。
|