研究概要 |
今期研究実績は、研究成果の一端を出版物のかたちで公にしたという事実に集約される。「中世英国写本と僧院」という研究課題のもとに、15世紀前半に英国ヨークシヤーはカルトージオ派修道院Mount Grace Priory(ヘンリー八世の修道院解体政策のため1539年以来廃墟となっている)においてニコラス・ラブ(Nicholas Love、1424年没)が作成したMyrrour of the Blessed Lyf of Jesu Christ(『イエス・キリストの祝福されし生涯の鏡』、早稲田大学図書館蔵、分類記号番号NE 3691)のルーツをたどりながら、イギリスとフランスの縁の地を訪れ、とりわけ、1084年に仏グルノーブル山中にSt Brunoが創始したカルトージオ派のその母院であるグランド・シャルトルーズ修道院辺の実見踏査、写真による現地の記録、出版物やマイクロフィルムをはじめとする関連資料の入手、等々、多数の成果を踏まえての出版物である。世界に散在残存する50を越える同種写本との比較考証を行ないながら、上掲書に含まれる「土曜日の章」の校訂本,"Saturday"in Waseda MS (NE 3691)(A4版、pp.xviii++36、早稲田写本からの5葉とエジンバラのスコツトランド国立図書館蔵写本からの2葉を含むカラー写真20枚、早稲田大学事業部、2003年02月25日)を研究出版した。この書は「金曜日の章」(1999)、「サクラメントの章」(2000)に次ぐ3巻目の出版物となる研究書である。
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