研究概要 |
ペン・ヘルシンキ コーパス(PPCME)、ブルックリン コーパス(Brooklyn Corpus)に対応する検索ソフト(KWIC Concordance for Windows)を用いて、特に「古英語の動詞接頭辞構文」がどのように「中英語の句動詞構文」へ移行していったのか、particleと動詞の位置関係から明らかにした。二つのコーパスを検索し、古英語(OE)から中英語(ME)における「副詞辞(P)+動詞(V)型」の推移は下記のようになった。 OE2からME4におけるP(・・・)V型の推移 1.OE2(850-950) 主節21% 従節72% 2.OE2(850-950) OE3(950-1050) OE4(1050-1150) 主節 41% 従節 68% 3.ME1(1150-1250) 主節 16% 従節 23% 4.ME2(1250-1350) 主節 3% 従節 8% 5.ME3(1350-1420) 主節 4% 従節 1% 6.ME4(1420-15000) 主節 1% 従節 2% OEでは主節に比べて従節で副詞辞が動詞の前にくる傾向が極めて高い.Hiltunenの先行研究と比較すると主節におけるP(・・・)V型が少なくV(・・・)P型のほうが多い。OE, MEが同じコーパスデザインで文法標識が付加された二つのコーパスを利用することにより、通時的に副詞辞の位置にかかわる変遷[推移]をとらえることができた。OEの語数がMEに比べて極めて少ないため、Hiltunenの先行研究とは異なる結果がでた。
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