研究課題/領域番号 |
13610603
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚本 昌則 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90242081)
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研究分担者 |
辻部 大介 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (30313183)
中地 義和 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50188942)
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
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キーワード | 眠り / 夢 / ロマン派 / 象徴主義 / 精神分析 |
研究概要 |
ロマン主義以降のフランス文学において、眠りのはらむさまざまな側面は数多くの作家・詩人たちの注意を引き、創作意欲を掻きたててきた。本研究の目的は、この眠りをめぐるテクストの分析を通して、フランス近現代文学の特質を再検討することである。 初年度にあたる今年度は、まだ十分なデータが蓄積されていないこの分野で、今後の研究の基礎となるコーパスの整備に努めた。とりわけ19世紀中葉から20世紀初頭にかけてフランスで発展した実証的心理学研究、そして近年研究が飛躍的に進展しつつある散文詩に関する文献表を充実させることができた。その文献渉猟の過程で、ゾラやモーパッサン等19世紀後半の小説家たちが精神病理をどのように捕らえていたかが、あらたな研究課題として浮上してきた。 同時に、当初の計画にある通り、プルースト、ヴァレリー、ブルトンが、眠りをどのようにして創作の方法に取り入れていったのかを検討した。今後さらに、眠りに対する彼らの態度が、プレ・ロマン派の作家たちの態度とどのように関係しているのか、同時代の実証心理学の言説にどのように影響されているのか等々の問いを吟味することで、考察をさらに展開していきたい。 最後に、今年度はヴァレリーの専門家であるパリ第12大学のセレレット=ピェトリ教授と、映画監督のジャン・ジャック=ベネックス氏の講演会を開催し、研究交流を深めることができた。今後もさまざまな研究者・作家との交流をおこない、この問題にどのようなアプローチが可能なのかをさらに探っていきたい。
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