本研究は19世紀メディア空間の変容過程を、フランスの詩人ステファヌ・マラルメのケースに即しながら、とくに「活字メディアの視覚的表現」というポイントに重点をおき、これを画像データベースを用いて実証的にあきらかにしょうとするものである。この研究計画のうち、本年度は以下の作業をおこない実績をあげた。 1)マラルメ文献の画像データベース化-ファクシミリ・写真などですでに発表されている文献については画像データベース化を相当程度おこなった。画像フォーマットはJPEGとし、これに書誌データを付してHTML化するという形式である。草稿類に関しては、閲覧・書写の許可はすでに得てあるが、写真撮影・スキャンについては現在交渉中である。 2)同時代資料の収集-1860-90年代の「絵入り雑誌」を中心として、視覚的メディアの漸進的な進歩・普及を裏付けるような資料の収集(コピー)をある程度おこなった。この一部はすでに画像データとして取り込みを始めている。 3)画像データベースシステムの構築-上記のように画像データベースはネットワーク上での閲覧を考えてHTML形式でおこなうこととした。現在のところインデックスから画像を呼び出すというシステムであるが、画像数によっては検索機能を盛り込む必要があるかもしれず、これを検討中である。 4)マラルメの思索過程の検証-マラルメ自身が発行した「絵入り雑誌」である『最新流行』と同時期の「絵入り雑誌」との比較検証、草稿類における視覚的要素の漸進的導入などを、具体的な画像データをもとにして進めている。これは2002年度には報告書のかたちでまとめることができると考える。
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