研究概要 |
昨年度は,分析方法に関する理論的整理を行うとともに、中間作業結果としていくつかの観点から整理した基礎動詞データ集も作成した。本年度は、次の段階として、主に本研究の理論的側面を検討し、理論的整備を行った。具体的には、以下のような知見を得た:(1)ドイツ語に関する研究論文を実際に方法論的観点から考察し、提示される結論は、言語の中に発見される「事実」の抽出というよりも,既存の概念の再定義という試み(一つの見方に基づく仮説提示)である。 (2)ドイツ語研究の目標は、すでにどこかに一つの定まった形で存在するものを発見することではなく,様々な現象をそれぞれの見方に基づき分析整理することにしかありえない。 (3)ドイツ語研究は、「仮説・実証」ではなく、「説明・評価」という形をとらざるをえないため、提示される仮説が他の仮説よりも「よりよい」とする評価基準が不可欠である。評価基準として,提示された仮説がドイツ文法全体から見て「より妥当」かどうかという判断、実用的な応用性(機械翻訳、言語教育など)などが挙げられる。 なお、文構造の確定は実際上,文構成素(名詞句,前置詞句など)の語彙レベルを観察することによってのみ知ることができることもサンプル的に確認した。また、新たな作業として、基本的な状態変化動詞の意味分析、複合動詞における接頭辞と動詞語幹と結合名詞句との関連性の分析、およびそれらに必要なデータ収集に着手した。
|