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2003 年度 実績報告書

J・フィッシャルトとその時代―文化史的・文体統計論的多重解析の試み

研究課題

研究課題/領域番号 13610622
研究機関一橋大学

研究代表者

新井 皓士  一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (60022117)

キーワードフィッシャルト / ラーレブーフ / カルストハンス / 16世紀ドイツ / 文体統計 / 主成分分析 / 数量化III類 / 対数正規分布
研究概要

当年度の研究実績は、日本独文学会『ドイツ文学』(No.115)の特集(言語学から見たテキスト)に依頼をうけ寄稿した「ある民衆本の作者問題解決の為に--統計手法応用の試み」(独文)、および『ワセダ・ブレッター』掲載の「多変量解析の文献学的応用--『カルストハンス』の事例」(和文)として結実した。後者は16世紀前半、前者は16世紀後半の代表的独文テキスト類を対照資料として、未知の作者を究明しようとするものであり、従来の人文科学的研究と知見をふまえつつ統計学的方法を応用する、日独の学会においてほとんど類例をみない多角的方法論に立脚し、実験的文体論を展開している。それによって得られた歴史的知見としては、宗教改革時代の民衆文献『カルストハンス』の作者として定説化しかけた通称ヴァディアン説は文体分析からは直ちには採り難いこと、対抗宗教改革・価格革命期の所謂「民衆本」の代表作で現今でも愚昧を椰楡する慣用句「シルダの市民」のもととなった『ラーレブーフ』の原作者がJ・フィッシャルトである可能性を究明し、文体分析からは当作品がフィッシャルト作とほぼ見てよい前半部と然らざる後半部とに精密には分けられるべきことを指摘し、「オイレンシュピーゲル・ボーテ説」で名高いP・ホネガーの仮説の不備を正した。なお3年間の研究実績報告とは別個に、ゲーテ作品群やM・ウェーバー、メンガーなどを分析対象資料として文体に関する一般法則の発見的(heuristic)研究、およびJ・フィッシャルトを中心とする文化史的・文体統計論的多重解析の研究成果を、本年中に単行本としてまとめ上梓する予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Hiroshi ARAI(新井皓士): "Zur Losung des Verfasserproblems eines Volksbuchs--Ein Anwendungsversuch statistischer Methoden--"ドイツ文学(Neie Beitrage zur Germanistik). 115(Bd2, H5). 43-57 (2003)

  • [文献書誌] 新井皓士: "多変量解析の文献学的応用:『カルストハンス』の事例"Waseda Blatter. 11. 85-97 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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