研究概要 |
1 『グリム童話』などドイツ語と日本語の小説テクストから「与える」などの3項動詞が現れる文を抽出し,格と語順を分類し,動詞を整理した。その結果,両言語で,主格>与格>対格パタンと,主格>対格>与格パタンの2つの基本語順をとる動詞クラスを分類した。 2 基本語順パタン以外の項の語順について句の移動と基底生成の2つの可能性を考察した。 3 語順変異の意味論的・語用論的要因(有生原理,句の大きさ,強調等)を分析した。 4 本研究の中間的な成果について,以下の学会発表を行った: 1)日本独文学会2002年春季研究発表会におけるシンポジウム「ドイツ語のパラメタを求めて」を計画し,報告(「ドイツ語のパラメタをめぐって」)を行い,ドイツ語の語順についての統語論的パラメタを分析・提案した(獨協大学,2002年6月)。 2)ドイツ語・日本語の主語の格パターン(非主格主語を含む1〜3項動詞)に関する研究発表("Externe Argumenteund nicht-nominativische Subjekte im Deutschen und Japanischen")を日本独文学会第30回言語学ゼミナールで行った(ドイツ語による発表,京都,2002年8月)。 3)2)を発展させた発表「ドイツ語・日本語のquirky subjectについて」を第248回広島言語文化談話会で行った(広島女学院大学,2003年2月)。 5 ドイツ語・日本語の名詞句の語順の分析について,Gisbert Fanselow教授(ポツダム大学)などのドイツの研究者と意見交換し,今後の共同研究の計画について協議した(なお本研究の最終成果は平成15年度中に研究論文としてまとめる)。
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