本研究は、現代ドイツ語の成立を、社会史的、社会言語学的視点から、その出発点である近世社会の状況との関連において論じようとするものである。 近世から現代に至るドイツ語の歴史的発展をみると、その特徴的な点は、話し言葉的性格から書き言葉的性格への傾向を強めたことにあるが、これは近世社会において、文書によるコミュニケーションが重要な役割を果たすようになった為であると考えられる。従って、近世社会におけるコミュニケーション状況を社会史、社会言語学の視点から解明することが主要な課題となる。 本研究の初年度である平成13年度においては、1)言語変化に関する諸理論や方法論を検討し、自らの理論的・方法論的出発点について考察した。2)近世ドイツの社会や言語に大きな影響を及ぼしたと考えられるMartin Lutherを研究対象とし、その言語や社会との関わりなどを分析することとした。3)ルターに関するさまざまな資料を収集した。4)2000年9月、ウィーンでの国際ゲルマニスト学会における近世ドイツ語の歴史的発展に関する研究発表を補足して、武蔵大学人文学会誌に発表した。5)近世ドイツ語の例として、ルターを対象とし、彼の言語、文体、言語使用に関して分析を行い、その成果を武蔵大学人文学会誌に発表した。6)2000年3月武蔵大学公開講座において発表した、現代ドイツの言語状況に関する講義を加筆修正し、公開講座叢書に発表した。7)ハイデルベルク大学にライヒマン教授、マタイアー教授、ボン大学にベーシュ教授、ホフマン教授を訪問して意見交換をし、また、近世の言語社会史資料を収集した。
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