研究概要 |
初年度である今年度は、ロマンス語言語学において語源研究の重要かつ中心的な存在であるWilhelm Meyer-Lubkeのロマンス語語源辞典(Romanisches etymologisches Worterbuch)初版(Heidelberg : Carl Winter's Universitatsbuchhandlung, 1911-1920)における語彙項目の検討を行った。この辞典は総量がXXIV+1092ぺ一ジで、全9636項目あるため、項目の詳細な検討は次年度にも引き継がれるが、具体的には、今年度は各項目のロマンス語言語資料・方言資料の分類とそれらの出典文献の再検討を行った。 これと平行してロマンス諸言語に属するカタルーニャ語とサルデーニャ語の言語干渉における語源研究をロマンス語辞典編纂学における語源辞典の比較研究の一環として実施した。特に、サルデーニャ島の北西端に位置するカタルーニャ語の言語島であるアルゲー(アルゲーロ)方言に関して、Josep Sanna(amb la col laboracio de Josep Subirats i Emili Pascual)Diccionari catala de l'Alguer, l'Alguer/Barcelona : Fundacio del II Congres de la Llengua Catalana i Editorial Regina, 1988を言語資料として語源研究を行い、上記のWilhelm Meyer-Lubkeのロマンス語語源辞典やMax Leopold Wagnerによるサルデーニャ語語源辞典(Dizionario etimo1ogico sardo, Heidelberg, 1960-1964)およびJoan Corominesのカタルーニャ語語源辞典(Diccionari etimologic i complementari de la llengua catalana, Barcelona, 1980-1991)と比較検討し、ロマンス語辞典編纂学における語源辞典の比較研究に寄与した。
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