研究概要 |
1.否定と時間関係副詞の分布の相関関係の解明:モダリティ的意味を含む時間関係副詞は、日本語のように肯定文と否定文で交替しない言語と、韓国語や英語のように異なる語が用いられる言語がある。この違いは、各副詞がもともと表していた意味が否定の持つ非現実相と矛盾するか否かという要因、そして各言語が、意味と形式をどのように対応させる傾向があるかという意味類型論的な要因によって決定されることを、日本語・韓国語・英語・ドイツ語の研究によって明らかにし、その成果を第2回日本認知言語学会(平成13年9月)および第16回太平洋アジア言語・情報・計算学会(PACLIC16)で発表した(平成14年2月)。 2.韓国語の否定並存に関する調査:韓国語には二種類の文否定の形式が並存しており、否定の発達を解明する上で重要な手掛かりとなるのだが、この二つの否定形式の並存状況が、印欧語で検証されている否定の発達段階の推移的状況を示していると考えられること、また、日本語との対比においては時間関係副詞や格表示などの現象にも見られた意味類型論的差異が反映されていることを明らかにし、その成果を第8回言語処理学会で発表した(平成14年3月)。 3.否定の発達に関する情報収集:上記1, 2の研究を行う上で必要となる、日本語・韓国語・英語・ドイツ語の否定発達に関する情報収集を行った。 4.否定構文に関する情報収集:上記1, 2の研究を行う上で必要となる、否定構文に関するデータ・文献情報などを収集し、分析作業および討議を行った。この作業のために、研究代表者と研究分担者は金沢と仙台において打ち合わせを行った。また、研究分担者は韓国語の否定に関する文献情報を収集するために、韓国において資料収集を行った。
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