本研究は、スケール(ある対象の量に関する属性を表すことのできる要素の全順序集合)および、グレーディング(スケールにおける値の選択)、比較(同じスケールにおける複数の値に対する関係の設定)という人間の認知的装置とその言語形式による表示方法の関係を研究することを目的とする。本年は、以下の研究を行った。 来年度以降の研究準備のため日本語における形容詞、程度に関わる動詞、名詞の記述的研究のサーベイを行い、形状形容詞のスケールに関するデータを収集した。 時間のダイクシス「今ごろ」に関する関する解釈を記述するために、認知スケールとカウンターパートの概念が本質的に関わることを明らかにした。この結果を用いて、日本語条件文とモーダルの助動詞に関する新しい知見を得た。この結果を国際認知科学会で発表した。また、場所の名詞「ところ」が関わる認知スケールの表示方法を考察した。以上の成果の概要をアリゾナ大学東アジア学科、ソウル大学言語学科、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校で講演した。
|