研究概要 |
交付申請書に記載したとおり、本研究の目的は、とりたて表現の数量的振る舞いを説明し、そこに見られる日本語・中国語の共通性と多様性をモノとデキゴトの認知の観点から説明するモデルを構築することである。この目的を果たすために本年度は、(1)平成13年度の研究成果を進展させた上で公表し、(2)モノとデキゴトに関する日中両語のインフォーマント調査をおこない、(3)モノとデキゴトに関する文献を収集するという3つの目標を立てた。 今年度はこれら3つの目標を概ね順調に進めることができた。(1)については前年度の成果をさらに進展させ、別表に記す3編の論文(そのうち1編は海外の雑誌に収録)によって発表した。さらに、今年度独自の研究成果を、3件の口頭発表で発表した。そのうち2件は中国の国際シンポジウムでの発表であり(定延利之2002年9月15日「体験表現の諸特徴」,中日国交回復三十周年記念,中日韓日本文化・日本語教育研究国際フォーラム(於大連外国語学院(中国))、定延利之2002年9月29日「日本語のデキゴト構造について」,2002年国際学術研討会:日本研究的深化与拓展(於北京日本学研究中心(中国)))、もう1件は国内学会パネルディスカッションでの招待発表である(定延利之2002年10月26日「インタラクションの文法、帰属の文法」,日本中国語学会第52回全国大会パネルディスカッション「隣接領域から見た中国語学」(於金沢大学))。これらの口頭発表の内容については、来年度さらに発展させて文章化を計画している。(2)については、上記2件の国際シンポジウムでの発表に伴い、大連外国語学院と北京外国語大学で中国語に関するインフォーマント調査をおこない、日中両国の専門家から有益な知見と情報を得ることができた。日本語に関するインフォーマント調査も、方言差に悩みつつも実施できた。(3)についてもBybeeをはじめとする有益な先行研究を収集し、研究に活かすことができた。
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