日本語の文理解に関する心理言語学的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13610661
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 坂本 勉 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10215650)
• 研究分担者: 玉岡 加津雄 広島大学, 留学生センター, 助教授 (70227263) ; 広瀬 友紀 電気通信大学, 電気通信学部, 専任講師 (50322095) ; 時本 真吾 目白大学, 人文学部, 助教授 (00291849) ; 井上 雅勝 武庫川女子大学, 文学部, 専任講師 (00243155)
• キーワード: 文理解(文処理)モデル / ガーデンパス / スクランブリング / 韻律 / 漢字認知 / 再解釈 / 対照言語学 / ワーキングメモリ

研究概要

今年度は、まず、7月28・29日に第一回会合を九州大学文学部言語学研究室にて開催した。発表者とその題目は以下の通りである。発表(1)時本真吾「文処理モデルと直・並列処理」、発表(2)広瀬友紀「韻律境界と統語境界」、発表(3)井上雅勝「ガーデンパス研究」、発表(4)玉岡賀津雄「The Effects of Phrase-Length Order and Scrambling in the Processing of Japanese Sentences」、発表(5)坂本勉「日本語の文理解研究の軌跡」、総括:坂本勉「今後の活動について」
この会合において、各研究分担者の役割と各自が受け持つ領域の概要が把握できた。日本語の文理解(文処理)の可能なモデルの構築と、特徴的な文型に即した具体的な実験研究の両面からの研究が必要であるという認識を共有することが出来た。
また、研究代表者と各研究分担者は、それぞれが以下に挙げるような研究発表を行った。
坂本は、日本認知科学会・日本心理学会などにおいて、4回の研究発表を行った。
時本は、Journal of Psycholinguistic Research, English Linguisticsなどに論文を計3編発表し、現在査読中である。
広瀬は、日本認知科学会、The CUNY conference on Human Sentence Processingで研究発表を行った。
玉岡は、認知神経心理学研究会,日本心理学会などで4回の研究発表を行った。
井上は、日本認知科学会・日本心理学会・日本言語学会において、3回の研究発表を行った。

研究成果

• [文献書誌] 坂本 勉: "文の理解-空主語文"月刊言語(大修館). 30・9. 92-97 (2001)
• [文献書誌] 坂本 勉: "文の理解-かき混ぜ文"月刊言語(大修館). 30・10. 106-111 (2001)
• [文献書誌] 坂本 勉: "文の理解-同格連続文"月刊言語(大修館). 30・11. 100-105 (2001)
• [文献書誌] 坂本 勉: "文の理解-中央埋め込み文"月刊言語(大修館). 30・12. 98-103 (2001)
• [文献書誌] 坂本 勉: "文の理解-袋小路文から再分析文へ"月刊言語(大修館). 30・13. 110-117 (2001)
• [文献書誌] 坂本 勉: "文献解題:(1)Kimball, (2)Fodor, Bever&Garrett, (3)Frazier&Fodor, and(4)Marcus"『英語学文献解題』第5巻 文法II. 294-300 (2001)
• [文献書誌] 広瀬友紀: "Paul Gorrell, Syntax and Parsing, Cambridge University press, 1955 解題"『英語学文献解題』第5巻 文法II. 308-310 (2001)
• [文献書誌] 広瀬友紀, 大津由紀雄: "「言語運用研究の概要」"『英語学文献解題』第5巻 文法II. 292-294 (2001)
• [文献書誌] Hirose, Y.: "The Role of Prosodic Structure in Resolving Syntactic Ambiguity"音韻研究. 4. 33-40 (2001)
• [文献書誌] 時本真吾: "日本語の統語解析における並列性の検証"目白大学人文学部紀要言語文化篇. 第7号. 1-5 (2001)
• [文献書誌] Tokimoto, Shingo: "Failure Reveals Mind : Breakdown in Sentence Comprehension"English Linguistics. 18(1). 295-322 (2001)
• [文献書誌] Shingo Tokimoto, G.B.Flores d'Arcais: "Segmentation and Selection of Appropriate Chinese Characters in Writing Place Names in Japanese"Journal of Psycholinguistic Research. 30(2). 135-145 (2001)
• [文献書誌] Tomaoka, K., Murata, T.: "OCP effects on Japanese phonological processing"音韻研究. 4. 119-126 (2001)
• [文献書誌] 玉岡賀津雄: "日本語の学習環境と日本的習慣を表現した熟語の知識との関係"読書科学. 45. 10-18 (2001)
• [文献書誌] Miyaoka, Y., Tamaoka, K.: "Use of Japanese honorific expressions by native Chinese speakers"Psychologia. 44. 209-222 (2001)
• [文献書誌] Morita, A., Tamaoka, K.: "Effects of orthographic similarity processing Japanese kanji"Psychologia. 44. 237-249 (2001)