研究課題/領域番号 |
13610671
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研究機関 | 長崎純心大学 |
研究代表者 |
笹栗 淳子 長崎純心大学, 人文学部・英語情報学科, 講師 (40333249)
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研究分担者 |
田窪 行則 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10154957)
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キーワード | 形式名詞 / 名詞の定性 / 属性の(集合) / ECM構造 / 文法化 / 形式意味論 / 「〜のこと」 / 守護と目的語の非対称性 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)基本的な形式名詞の用法に対し、それらの用法が、基本的な辞書的意味とその統語的位置との相関で説明できることを示すこと、(2)基本的な辞書的意味とその比喩的な拡張の仕方に法則性があること、その拡張と統語的性質に相関があることを示し、いわゆる「文法化」の概念をより精密化することである。 本年度は語彙部門と統語部門とのインターフェイスを理論的に整備する作業を継続して行い、形式名詞「コト」が名詞の「コト」という表現形式をとった場合の用法を統一的に説明することを試みた。名詞に後続する「のコト」に関しては、動詞との共起関係が義務的なものと随意的なものがあり、それぞれの意味的特徴をもつ。その意味的特徴は「名詞」「の」「コト」の意味から構成的に導出されることを示した。「の」は属格「コト」は「事実」「出来事」を意味し、「名詞のコト」は「名詞が指示するものに関するある出来事あるいはすべての出来事」という構成的意味が導かれる。そして「名詞」が指示的である場合は「のコト」はその指示名詞の属性の集合と等価となり、結果として、「定名詞+のコト」はgeneralized quantifierと同じタイプになる。すなわち、「〜こと」は定名詞句をgeneralized quantifierにする役目を果たす。「のコト」をこのように捉えることにより、随意的な「のコト」の意味的/統語的特徴を説明できることを示した。 以上の成果の概要を高麗大学で開かれたThe Second Seoul International Conference on Discourse and Cognitive Linguisticsで発表した。
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