パソコンによる言語地理学データと諸データの統合に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13610673
• 研究機関: 県立新潟女子短期大学
• 研究代表者: 福嶋 秩子 県立新潟女子短期大学, 英文学科, 教授 (80189935)
• キーワード: パーソナルコンピュータ / 言語地図 / 多言語対応 / マニュアルのPDFファイル化 / システムのダウンロード / 新潟県の方言 / 奄美徳之島の方言 / 若年層の方言

研究概要

研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地図作成システムSEALを開発、その後も機器の進歩に対応した改良を進めている。平成6年度にMS-DOS版BASICのコンパイラ版、9年度にWindows95対応版、12年度にWindows98/Me/2000対応版SEAL 6.0J、13年度にSEAL英語版6.0Eを発表した。本研究では、このSEALシステムの改訂・整備を継続するとともに、日本語方言資料への応用分析を進めている。2年目の研究実績は次の通りである。
1 SEALシステムの改訂・整備
言語地図作成システムSEALのWindows XP対応版の作成と多言語対応化を目的として、以下のように改定を行った。平成14年5月、インストール方法を変更したSEAL6.1Jと英語版6.1Eを発表、ホームページ(http://www.nicol.ac.jp/〜fukusima/)でダウンロードできるようにした。SEAL6,1Eは英語版Windowsだけでなく、韓国語版、中国語版など多言語のWindowsで動くことが確認された。6月に、英語版6.2Eの英文マニュアルをPDFファイル化し、ホームページ上で公開した。12月に、Windows XP搭載のPCのモバイル使用に対応し、詳細な印刷設定が可能になるよう改定した6.2Eを発表した。中国語方言および韓国語方言研究者の英語版SEAL活用を支援した。一方、2で述べる新潟県出身学生の複数年調査データなど、白地図が同じで地点が異なる調査資料を同時処理できるようSEALを大幅改定し、SEAL6.3Jとした。このシステムの公開に向けて、日本語版マニュアルを作成中である。
2 SEALを使った言語地理学的研究
奄美徳之島方言について文法に焦点をおいた研究分析を継続している。また、新潟県出身の短大学生に行ったアンケート調査結果を地図化し、新潟県の若年層の方言実態についてまとめ、第11回方言学の方法国際会議(フィンランド)および新潟県ことばの会研究集会において発表した。

研究成果

• [文献書誌] 福嶋秩子: "方言地図作成の機械化"『方言地理学の課題』明治書院. 418-431 (2002)
• [文献書誌] 福嶋秩子: "短大生の方言 新潟県出身学生のアンケート調査結果より(2)"ことばとくらし. 第14号. 22-23 (2002)
• [文献書誌] 福嶋秩子: "<小事典>ふるさとのことば 新潟県"月刊言語. Vol.32 No.1. 62-63 (2003)
• [文献書誌] Chitsuko Fukushima: "Linguistic innovation born in the paradigm : Interpretation of linguistic maps"Proceedings of 3rd International Congress of Dialectologists and Geolinguists, Lublin, Poland. (6月予定). 106-120 (2003)
• [文献書誌] Chitsuko Fukushima: "Interplay of Geographical and Generational Variation in Local Japanese Dialects"A paper presented at Eleventh International Congress on Methods in Dialectology (Methods XI), Joensuu, Finland. (研究発表). (2002)
• [文献書誌] 福嶋秩子: "新潟県出身学生の方言とその分布"平成14年度新潟県ことばの会研究集会. (研究発表). (2002)
• [文献書誌] 柴田武, 山田進 編(福嶋は42・49カテゴリー執筆): "類語大事典"講談社. 1496 (2002)