研究代表者は、昭和58年パソコンを利用した最初の言語地図作成システムSEAILを開発、その後もMS-DOS版BASICのコンパイラ版、Windows対応版等、機器の進歩に対応した改良版を開発公開してきた。本研究では、このSEALシステムの改訂・整備を継続するとともに、日本語方言資料への応用分析を進めた。3年間の研究成果は次の通りである。 1 SEALシステムの改訂・整備 13年度にSEAL英語版6.0E、14年度にWindows xpと多言語に対応したSEAL6.1Jと6.1E、およびその改訂版の6.2Eと6.3E、15年度に新機能を付け加えたSEAL7.0Jを発表した。SEAL7.0Jは、新潟県出身学生の複数年調査データのような、調査地域が同して地点が異なる調査資料を同時処理できる「グループ地図」作成機能の追加等SEALを大幅改定したものである。13年度末にSEAL Version 6.0Eの英文マニュアルを、15年度末にSEAL Version7.0Jの日本語版マニュアルを作成、出版した。英語版SEALは、英語版Windowsをはじめ各言語版のWindowsでの動作が可能な多言語対応版である。SEALの公開と情報公開の場としてホームペーシ「言語地理学のへや」(http://www.nicol.ac.jp/fukusima/)を活用し、英語版ホームページも開設した(http://www.nicol.ac.jp/fukusima/english)。日本語版・英語版のシステムとサンプルデータのインストールファイルやPDF版マニュアルのダウンロードが可能になっている。現在、国内外の中国語・韓国語等の方言研究者に活用されている。 2 SEALを使った言語地理学的研究 奄美徳之島の方言や新潟県の方言についてのデータ分析を継続し、様々な機会をとらえて、研究成果を発表、出版した。フィンランドでの第11回方言学の方法国際会議およびラトビアでの第4回方言学者国際会議にて発表した。
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