平成13年度は、以下の三点を行った: (i)1998年11月に提出した博士論文で提案したテンス・アスペクトを意味構造に組み入れるモデルの再検討と内容の発展に向けて、英語・日本語の資料収集を行なった。博士論文では主に日本語の心理動詞を詳細に検討したが、更に、英語の心理動詞、また、心理動詞以外の動詞で、テンス・アスペクトに関して様々な異なった振る舞いを見せる資料を充実させるため、図書や雑誌のほか・日本語・英語の映画、テレビで放映されている英語のニュース・ドラマを録画して実例を探した。 (ii)博士論文で指摘されている未解決の問題の再確認と検討を行った。本論文で提案したモデルの形式化が不十分な点を補うため、日本語学の文献から様々な分析を検討した。 (iii)英語の授業において、学生の英作文中で日本語の「V-た」を英文に訳す時、過去形・現在完了形、過去完了形の用法にかなりの混乱がみられた。共同執筆者として参加している『コミュニカティブな文法指導』の第8章で、その混乱の要因を探り日英のテンス・アスペクト対応について考察した。
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