本研究はムンダ語の百科事典である『エンサイクロペディア・ムンダリカ』をコンピューターに打ち込んで、データベースを構築することである。平成13年度は、研究主体である長田研究室にデスクトップコンピューターを、また研究協力者であるマドゥ・プルティーにラップトップコンピューターを購入し、まずAの項目からの入力を開始した。平成14年度も、同様に、打ち込みを継続していただいた。また、それとは別に、長田は今後のムンダ語研究に必要不可欠であるムンダ語研究文献の作成をめざし、長田自身の手によって、データの打ち込みをおこなった。 さらに、本研究と密接に関連する科学研究費基盤研究(B)課題『南アジア諸言語に関する基礎語彙・文法調査』(研究代表者ペーリ・バースカララーオ東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)によって、ムンダ語族のうち、ケルワリアン諸語の方言調査をおこなった。その経緯については、そちらの科研報告書に詳しいので、ここでは詳細は述べないが、従来報告されているサンタル語とはあきらかにことなる語彙をもった方言が観察されており、ムンダ語語源辞書編纂のためには、まずこうした方言調査が重要である。このデータベースにおいても、たんに、エンサイクロペディア・ムンダリカの記述を打ち込むのではなく、ムンダ語母語話者である研究協力者のマドゥ・プルティー自身の方言による語彙も打ち込んでもらっている。それが、今後の方言調査、ひいてはムンダ語語源辞書編纂にとって、大きな意味をもつと信じている。
|