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2002 年度 実績報告書

エウリーピデース「ヘカベー」写本の伝承研究―同作品校訂・注釈本へむけて

研究課題

研究課題/領域番号 13610678
研究機関北海道大学

研究代表者

安西 眞  北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90143320)

キーワード中世写本 / Laurentianus 32.2 / 双子写本 / apogropha / エウリーピデース / ギリシャ語文献学 / 古典文献学
研究概要

今年度は、エウリーピデース本文の伝承の核心問題に関わる部分を研究対象とした。すなわち、写本L(Laurentianus 32.2、フィレンツェ在のイタリア国立図書館が所蔵)と写本P(Palatinusgr.287、ヴァチカン図書館蔵、と、Laurentianus con. Soppr. 172、-フィレンツェの国立図書館蔵に分かれる)の関係である。両者の関係については既に40年来、通説と思われる見解が認められてきたが、校訂本を作る為には、この定説の再検討は欠かすことができない。2つの(実際には3つの、だが)写本の校合を、マイクロフィルムをとおして進めて行く過程で、しかし、この「定説」には、実際はかなり問題が含まれている可能性があることを発見した。この成果については、平成15年から発足する研究会「フィロロギカ」(9月に都立大学で総会開催)にて、発表する予定である。定説に問題を発見した以上、校訂本に向けての作業の長期化は避けられないが、ことの性質上やむをえないことであろう。
本研究自体は、日本の西洋古典学も、古典学の核心の作業(写本の検討をつうじての、校訂本あるいは校訂・注釈本の創出)に参加すべきである、という、いわば日本における西洋古典学の意味を変えるような主張を持っている。さいわい、学会内にも理解者はかなりおり、平成14年6月広島大学で開催された西洋古典学会総会では、本研究者の主張を中心に据えたシンポジウムも開催された。そこでの基調報告は、15年3月発行の学会誌に掲載される。
本研究は、古典文献学の一部をなすべき個人研究ではあるが、同時に今述べたように、日本で為されている学問の一分野の内容の変更を迫るような主張を持っており、本職が主催する研究集団「フィロロギカ(現在約15名が参加)」の活動をつうじて、その主張も広げていきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 安西眞: "古典学的に読むこと"西洋古典学研究. 51巻. (2003)

  • [文献書誌] 安西眞: "ピンダロス研究-詩人と祝勝歌の話者"北海道大学図書刊行会. XV+285 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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