本研究の目的は2つあった。今日まで、日本で古典文献の(ヨーロッパの古典)校訂テクストの確立、およびその確立した本文を注釈するという作業がなされたことはなかった。これがわが国において、可能かどうか探ってみること、これが第一である。第二には、これと平行して古典学の同僚諸氏(全国の)に、日本の古典学が国際的な役割を果たしていくためには、欧語論文の生産ももちろん必要であるが、同時に、学界の研究・教育の中核に古典文献学を据える、という、学問の内容の転換が必要であることを様々な機会を捉えて説くこと、であった。ことは一挙には進まないが、実践の部分も理念の部分も確実に一歩は進めることができた。
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