研究課題/領域番号 |
13610681
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 継根 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70011343)
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研究分担者 |
藤田 恭子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (80241561)
山下 博司 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20230427)
藤原 五雄 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (40036348)
鈴木 道男 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (20187769)
佐藤 雪野 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40226014)
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キーワード | 言語戦争 / 多言語社会 / 文化摩擦 / 在日コリアン / トランシルヴァニア / ブコヴィナ / チェコ / インド |
研究概要 |
本研究は、ヨーロッパ再編などを機にとくに多民族社会において顕著になっている国民国家という枠組み自体の限界と揺らぎを検証する作業の一環として、言語的諸勢力のダイナミクスを言語支配に関する摩擦という視点から捉え、これを言語戦争と呼んで比較文化の手法をもちいて類型化・整理し、文化の保持と伝達におけるその意味を明らかにする試みの一つである。 本プロジェクトでは、別記の雑誌論文の他に「ズィーベンビュルゲン・ザクセン人とハンガリー化、ルーマニア化-トランシルヴァニアの特異な言語状況について-」、「初期作品に見る金史良の文学世界」、「ルーマニア化政策とブコヴィナ文学の変容」、「チェコの初期民族運動とチェコ語の定期刊行物」、「日本における英語公用語化論と民族的アイデンティティの問題(序)-多言語国家インド、マレーシアなどとの比較をまじえて-」という個別の報告をまとめるに至った。 これらは研究方法も様々であり、取り上げた地域や時代は様々であるが、いずれも多言語社会におけるそれぞれの民族独自の言語が、当該民族の文化を保持し伝達する上で、また民族的アイデンティティを擁護し強化する上でどれほど大きな意義を持つのかを多様な資料を用いて検証し、論じている。どの報告にも、民族間・文化間の摩擦に占める言語問題の重要性・深刻性についての深い認識が顕著に現れているが、それがそれぞれの研究の成果と言うべきものであり、当初の研究目的はとりあえず達成できたと考えている。 しかし、取り上げたのは五つの事例に過ぎず、量的に不十分である。今後、数多くの事例研究を重ね、その上で、「言語戦争」の類型化・整理を行い、文化の保持と伝達におけるその意味を総合的・体系的に明らかにすることが必須の課題であるとの認識を持っており、近い将来、より大きな研究グループを組織してその課題を達成すべく努力するつもりである。
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