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2003 年度 実績報告書

西洋古典における民話にもとづく文学創造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610687
研究機関名古屋大学

研究代表者

小川 正廣  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (40127064)

キーワードギリシア / ローマ / 民話 / 民間伝承 / 叙事詩 / 悲劇 / 喜劇 / 他者
研究概要

ギリシア・ローマの古典文学は、民話、昔話、伝説など民間伝承の諸形態からさまざまな要素を取り入れている。とくに神話を題材とする叙事詩・悲劇においては、きわめて多くの民間伝承の要素が含まれており、それぞれの作家がエピソードや場面に部分的に民話などを応用しただけではなく、さらには作品全体を構想し物語・劇の骨組みを形づくる際にも、そうした民間伝承の話形や展開をもとにしている場合が少なくない。このように古典文学の創造に民話等の民間伝承が果たした役割は測り知れないのであるが、しかし従来の古典文学研究では、民話の考察はギリシア史家ヘロドトスの説話文学を対象として行なわれている以外には、個々の作品の小規模なモチーフについて散発的になされている程度にすぎず、叙事詩や悲劇の主要な古典作品と民話との関わりをより広範かつ給合的視野から扱った研究は、国内外を問わず行なわれていない。本研究はそうした観点に立ち、西洋古典文学の主流をなすギリシア・ローマの叙事詩と悲劇において、民話をはじめとする民間伝承がどのような形で創作に取り入れられ、いかに文学創造に貢献したのかを、原典研究にもとづく文献学的な実証的方法によって明らかにした。とりわけ叙事詩においては、ホメロスの作品の背景をなす口誦伝統と民間伝承との関係、およびホメロスの伝記の形成における民間伝承の役割、また悲劇作品においては、ソポクレス『オイディプス王』の下敷きとなった「宿命の子」の民話に関して独自な分析を行なった。さらにはローマの叙事詩、喜劇、恋愛詩における民間伝承的要素に関しても、「他者」の規定をめぐって考察した。以上の成果はそれぞれ、全国的規模の学会および刊行物において一部を公表した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 小川正廣: "ホメロスからウェルギリウスへ「自由」の意味の転換"ギリシア世界からローマへ-転換の諸相. 189-222 (2001)

  • [文献書誌] 小川正廣: "オイディプースと「宿命の子」の民話"オイディプースをめぐる悲劇作品と伝説-連命論の展開. 32-43 (2002)

  • [文献書誌] 小川正廣: "古代世界の言葉遊び"月刊 言語. 32-2. 66-71 (2003)

  • [文献書誌] 小川正廣: "西洋古典のカノン-初期ギリシアにおけるホメロスの詩の選定をめぐって"論集 伝承と受容(世界)-「古典学の再構築」研究成果報告集VI. 60-70 (2003)

  • [文献書誌] 小川正廣: "口誦伝統と文字テクスト-ホメロスをめぐって"岩波溝座 文学1. 17-39 (2003)

  • [文献書誌] 小川正廣: "他者イメージの変容-ローマ喜劇と恋愛詩における奴隷と女性"ギリシア・ローマ世界における他者. 279-329 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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