日本の「マンガ」は今や世界で認められており、文化輸出としては最大の領域となっている。これらのマンガ文化が世界に出て行くとき、それは各国でどのように評価され、受け入れられているのであろうか。この問題について、中国語圏地域(中国大陸・香港・台湾)にポイントをしぼり、それぞれの地域での日本マンガの影響及び受け入れ状況を調べるのが本研究の目的である。 13度から14年度にかけては収集した資料の整理と分類を行い、とりわけ中国・台湾・香港各地域における漫画研究・漫画批評に関する文献に重点を置いて収集した。 大きな成果としては、14年度に発行した『漫画学入門』が挙げられる。これは報告者が全学教育で行っている授業でテキストとして使う為、漫画に関する総合的な研究をまとめたものである。この中では「漫画の歴史」、「漫画作家紹介」、「作品研究」、「マンガの表現」、「アメリカン・コミックについて」、「中国漫画について」等の章を設け、解説を行った。15年度はそれまでの成果をふまえ、台湾・中国での漫画批評・評論を各新聞、雑誌などから集めて翻訳し、報告書として纏めた。こういった作業は国内では初めてであり、今後の漫画文化研究に対して極めて有益であると考えている。
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