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2001 年度 実績報告書

ポスト社会主義社会における人権概念の受容と変容

研究課題

研究課題/領域番号 13620010
研究機関神戸大学

研究代表者

森下 敏男  神戸大学, 法学研究科, 教授 (90107920)

キーワード人権 / ロシア / ソ連 / 社会主義 / 自由権
研究概要

今年度は、ロシアの人権に関する総論的な研究を中心に行い、同時に、ロシアの新しい立法動向(新土地法典、新刑事訴訟法典の制定)とも関連して、土地私有権、刑事裁判手続上の人権についての個別的研究も行った。
総論的研究(現代ロシアの人権をめぐる問題状況の把握)は、下院の任命する人権オンブズマンが毎年発表している報告書が重要な素材となる。ロシアでは改革派が人権の旗を振り、保守派(共産党など左派)は人権問題を無視しているが、しかし現在の人権オンブズマンは共産党員のミロノフ氏であるという奇妙な構図になっている。社会主義崩壊後のロシアでは、言論の自由や信教の自由など、精神的自由の問題は劇的に改善された(ただしマスコミの支配権をめぐる新興財閥と政府の争いなど重要な問題がある)。他方で、社会権や人身の自由などをめぐる人権状況は、あまりにも悲惨な状態である。経済危機による賃金・年金の不払い、電力の供給停止(凍死者の発生)、ホームレス問題、人身売買、軍隊での虐待・自殺激増、未決勾留期間の違法な長期化、過密で寝る場所もない刑務所、邪罪の激増と人命軽視の風潮等々。本研究は、このような現状を明らかにした。
また2001年に制定された土地法典は、ロシア史上全面的には認められたことがない土地の私有権をついに承認した。同年制定の刑事訴訟法典は、陪審制の全面的導入、勾留決定権の裁判官への付与(1993年の現行憲法で規定しながら、今日まで検察官が勾留決定を行ってきた)、当事者主義的訴訟構造への移行(これまで検察官は必ずしも出廷せず、裁判官が起訴状を朗読し、検察官役を兼ねていた)など、被告人・被疑者の人権を尊重する方向で改革が行われた。本研究はこれらの内容を明らかにし、同時に両法典の翻訳の準備もしている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 森下 敏男: "市場経済化にともなう土地法の変容:ロシア"比較法研究. 63号. 54-62 (2001)

  • [文献書誌] 森下 敏男: "現代ロシアの人権状況"神戸法学雑誌. 50巻1号(印刷中). (2002)

  • [文献書誌] 森下 敏男: "ロシアの立法動向(巻頭論文「ロシアの司法制度改革」執筆)"日本国際問題研究所. 100 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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