研究概要 |
本年度は、ジャン・バッティスタ・ヴィーコの『1741年度弁論術講義』(ラテン語・イタリア語対照版)を解読するために不可欠な二つのデータを作成する作業を行った。 その第1は、本講義で引用されているギリシャやローマの文学資料の出典を確定する作業である。Aristoteles, Cicero, Quintilianusからの引用が多数にあることは予想どおりであつたが、HoratiusのArs poetica, Carmina, VirgiliusのAeneis, Eclogae, Georgicaからの引用も相当数あることは、意外でもあった。 その第2は、出典を明示せずに本講義で言及されているローマの法律家のテクストを確定する作業である。言及されていると思われる法文を特定できたのは、6箇所にすぎず、いずれも出典は『学説彙纂 Digesta』であった。次年度は、『普遍法II diritto universal』で引用されているローマ法文を手掛かりにして、特定の精度をさらに高める作業を予定している。
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