研究概要 |
1 無縁墳墓改葬公告について 平成11年5月から、無縁墳墓の改葬(「無縁改葬」と略)公告の方法が日刊紙(新聞)による公告の掲載から官報への掲載に変更になった。そのため、無縁改葬の公告に関する情報が1ヵ所にまとめられたので、この情報のデータベース化が可能になった。データは、(1)公告の日時、(2)無縁改葬を行う場所(住所)、(3)墓地の名称、(4)死者の名前(あるいは墓地使用者の名前)、(5)無縁改葬を行う人、(6)無縁改葬の理由、等であり、今年度平成12年末までの入力が終了した。データは分析の途上であるが、次の傾向が窺えるのではないかと思う。(1)無縁改葬の事由として、道路工事などの工事関係によるものが多いが、次第に「墓地の整理」を理由にした改葬も増える傾向にある。(2)公告の記載事項である「死者の名前」が不明で「不詳」と記載される事例が多い。今後も無縁墳墓改葬事例が増加することを考えるならば、現行の記載事項についても再検討を行う必要がでてくるだろう。 2 金沢市営野田山墓地の調査 加賀藩の墓地として出発した野田山墓地は、古い伝統がある墓地であるために無縁墳墓が増加し、金沢市はその環境整備を行い、現在でもその作業が続いている。その手続きは広大な面積を有する墓地の整備事業のモデルとも言えるものである。この環境整備(無縁改葬)事業を実証的に明らかにするために、無縁墳墓を特定するために準備を進めている区域を中心に無縁の可能性のある墳墓(立て札を立てた墳墓)を特定した。その数は1,000基を超えており、この墳墓の行方を注目したい。平成14年度には1,000基の墳墓のデータを整理し(戒名・建立年などの墓標に刻まれている文字情報)、その傾向を明らかにしたい。
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