研究概要 |
1 無縁墳墓の改葬公告のデータベース化 平成11年5月から平成15年5月までの4年間に官報に掲載された無縁墳墓改葬公告についてデータベース化を行った。その数は4年間で900件を超え、平成15年度中には1000件に達するであろう。(1)無縁改葬の事由として、道路工事等による公共工事関連によるものが多いが、(2)公営墓地・事業型墓地、特に寺院による「墓地の整理」を理由にした改葬が増える傾向にある。(3)無縁墳墓改葬の事例が今後増加することを考えるならば、現行の記載事項についても再検討を行う必要がでてくるだろう。 2 金沢市営野田山墓地における無縁墳墓の調査 加賀藩の墓地として出発した野田山墓地は、古い伝統がある墓地であるために無縁墳墓が増加し、金沢市はその環境整備を行っている。この環境整備(無縁改葬)事業を実証的に明らかにするために、無縁墳墓を特定するために準備を進めている区域(第3ブロック)を中心に無縁の可能性のある墳墓(立て札を立てた墳墓)を特定した。改葬される墳墓の建立年としては元禄期から昭和初期にかけてのものであり、その数は2000基のなかで1,200基を超え、全体の5分の3を超えている。 3 愛媛県周桑郡丹原町での墓に関する意識調査 調査は愛媛県周桑郡丹原町の老人会に委託をして行った。調査対象は丹原町の全地域であり、回答者の数は174人である。回答者には高齢者が多いために、お墓をすでに持ち、自分が入るお墓の承継者を確保している人が多かったが、それでもまだ決まっていないと回答した人が11.9%、墓を継いで貰うことを望まない人が2.0%いた。また、お墓の承継者の続柄も長男と回答した人が多かったが(70.1%)、女子が承継者になるケースも増えている(6.1%)。また、祖先祭祀についての意識の変容も大きい。
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