研究課題/領域番号 |
13620019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤田 宙靖 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50004148)
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研究分担者 |
稲葉 馨 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10125502)
辻村 みよ子 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30158381)
生田 長人 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80333772)
仲野 武志 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50292818)
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キーワード | 公法学 / ヨーロッパ法 / 行政統制 |
研究概要 |
本期間中は、主としてネットワーク型社会の到来への理論的対応に関する基礎的な研究が行われた。当初の計画どおり、研究分野はグローバル・ナショナル・リージョナルの三局面に文節されている。まず、グローバルな見地からは、「公権力の行使」概念に関する大陸法全体(独・仏・伊)を対象としたスケールの比較法的考察が進展した。ヨーロッパ法統合も踏まえつつ、19世紀の理論的出発点に立ちかえった詳細な分析の結果、公法実体法における主観的構成(公権論及び保護規範説)の限界が示された。同時に「法秩序」としての法的仕組み論を進化させつつ、制度保障的枠組みに基づいて現状を打開する必要性も明らかにされた。「ヨーロッパ標準」でもあるフランス越権訴訟の前提となる実体法の再構成をめざした研究は、世界でも初めてである。次に、ナショナルな見地からは従来のわが国の行政事件訴訟法9条解釈論を集大成し、「私人による行政統制」の新たな段階への方向づけが模索された。第三者の法的立場が「(一般的)自由権」「行政庁による保護を受ける権利」「自己の利益を手続上考慮してもらう権利」の3類型に応じた理論的基礎づけを得たことは大きな成果である。膨大な判例学説が明晰に整理された結果、実定法を分析するに当たっての堅固な視座が提供された。最後にリージョナルな見地からは、憲法及び地方自治法上の自治組織権の位置づけが検討された。法律による条例主義の採用自体が長の組織編成権を制約するという問題点が指摘され、その緩和的解釈の可能性が呈示された。各々の研究内容を深めつつ、三者の有機的な連関を模索することが次期研究期間の課題である。
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