研究課題/領域番号 |
13620020
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西埜 章 新潟大学, 法学部, 教授 (30090658)
|
研究分担者 |
石崎 誠也 新潟大学, 法学部, 教授 (20159718)
|
キーワード | 埋蔵文化財 / 損失補償の要否 / 原因者負担 / 発掘調査費用 / 財産権の制限 / 財産権の保障 / 現状変更停止 / 土地の買取り |
研究概要 |
1損失補償関係については、文化財保護法上の損失補償を体系的に把握するために、埋蔵文化財に限定しないで、(1)重要文化財の現状変更等の制限によって損失を受けた者に対する補償(法43条5項)、(2)重要文化財の保存のための環境保全処分によって損失を受けた者に対する補償(法45条2項)、(3)遺跡調査のための現状変更停止命令等によって損失を受けた者に対する補償(法57条の5第9項)、(4)史跡名勝天然記念物の現状変更等の制限によって損失を受けた者に対する補償(法80条5項)、(5)史跡名勝天然記念物の保存のための環境保全処分によって損失を受けた者に対する補償(法81条2項)、(6)史跡名勝天然記念物の保存のための調査等によって損失を受けた者に対する補償(法83条2項)について、文化庁や新潟県・県内市町村の管理している資料等をみながら、その実態を調査した。その結果、文化財保護法上に損失補償の規定があるにもかかわらず、実際にはほとんど補償の実例がないことが判明した。そして、このことは埋蔵文化財についても同様であり、損失補償の規定が存在しながら補償の実例がないことの理由の追究が緊要な課題であるとの結論に達した。 2埋蔵文化財の発掘調査費用の原因者負担主義については、郡山市埋蔵文化財発掘調査費用負担事件の東京地裁平成12年8月25日判決(判例集未登載)を入手できたので、この判決について検討した。この判決は、(1)財産権制限に対する補償の要否、(2)行政指導服従の任意性、の2点において疑義のある内容であるが、これも結局は現行の文化財保護法自体に内在する問題ではないかと思われる。
|