研究課題/領域番号 |
13620020
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西埜 章 新潟大学, 法学部, 教授 (30090658)
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研究分担者 |
石崎 誠也 新潟大学, 法学部, 教授 (20159718)
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キーワード | 埋蔵文化財 / 損失補償の要否 / 原因者負担 / 発掘調査費用 / 財産権の制限 / 財産権の保障 / 現状変更停止 / 土地の買取り |
研究概要 |
1 損失補償関係については、今年は、埋蔵文化財包蔵地の土地買取り制度の研究に重点を移した。文化財保護法上には「管理団体による買取りの補助」(81条の2)が規定されているだけであるが、国・地方公共団体等が土地等を買い取る(任意買収)ことができることを当然の前提している。土地を任意買収する場合にも、土地代金は憲法29条3項の「正当な補償」の要請を満たすものでなければならない。また、情報公開制度に基づいて開示の請求がなされた場合には、任意買収にかかる情報を開示しなければならない。今年は、そのうちの買収対価(補償額)の開示の可否について研究した。土地の買取り金額は、個々人のプライバシーの面があることは否定できないが、公共のための買取りであることを考慮すれば、それだけで開示請求を拒否することには疑問があるというのが結論である。 平成15年12月22日に、新潟大学法学部において、奈良県立大学の南眞二教授の「文化財保護制度の問題点と課題」という研究報告を基にして、研究会を開催した。また、平成16年2月22日には、新潟大学において、新潟大学考古学研究室主催の研究会が開催され、研究代表者の西埜が「埋蔵文化財の保護と損失補償」というテーマで研究報告を行った。 2 実態調査については、埋蔵文化財を包蔵する土地の買取りの実情について調査した。ところが、買取り件数、買取り価格については、公表されたものがなく、各市町村の担当者に問い合わせるしか方法がないことが判明した。この点については、今後の新たな研究課題としたい。
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