研究課題/領域番号 |
13620026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 眞澄 山口大学, 経済学部, 教授 (30314793)
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研究分担者 |
柳井 健一 山口大学, 経済学部, 助教授 (30304471)
有田 謙司 山口大学, 経済学部, 教授 (50232062)
藤田 達朗 山口大学, 教育学部, 教授 (10209059)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | ヨーロッパ連合(EU) / ヨーロッパ憲法制定条約 / 72年ヨーロッパ共同体法 / 98年人権法 / ヨーロッパ人権条約 / 02年国籍、出入国および庇護法 / イギリス市民権 / 98年公益開示法 |
研究概要 |
本研究会の3年間に、欧州連合は、01年ニース条約締結(03年発効)、新規加盟10カ国を加えた25カ国体制への移行(04年5月)に加え、目下欧州憲法制定条約草案が政府間会議で審議中というように、拡大と深化をますます進めている。イギリスは72年欧州共同体法でEC法の国内的受容が可能となったが、一連のFactortame事件判決等によりEC法の直接効果および優位性が確立して国会主権の伝統が崩れ「法技術的革命」と称されるまでになった。しかし、EU/ECの超国家性は加盟国国家主権そのものの次元ではなく、それを構成する立法・執行・司法レベルの権限委譲にすぎず、その結果政治部門における「執行権支配」と「民主主義の赤字」の拮抗をもたらすに至った。欧州憲法制定条約でもこの本質は変わらない。トニー・ブレアー労働党政権の表面的な親ヨーロッパ政策と憲法条約に対する警戒姿勢が示唆的であるが、その一方でEU/EC行政法の形成は予見できる。人権保障では、98年人権法が、国会制定法とコモン・ローを適用する判例法による人権保障という憲法伝統を大幅に修正し、欧州人権条約の国内法化を確立したが、その技巧性ゆえに、反テロリズム・犯罪・安全法(01年)、R.v A.(No.2)(02年)において、立法と解釈の境界をめぐる議論を呼び起こしている。出入国管理体制では、庇護法制のヨーロッパ化として、庇護および出入国管理上訴法(93年)、庇護および出入国管理法(96年)、出入国管理および庇護法(99年)という大改革を経ていたが、国籍、出入国管理および庇護法(02年)において、出入国管理法制における庇護制度のヨーロッパ化が顕著になる一方で、イギリス法に存在しないと言われてきた市民権概念が実体化するところとなった。労働者保護法制では、イギリス公益開示法(98年)の展開が、わが国の公的機関および企業内内部告発者の保護法制に一定の示唆を与えつつある。
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