研究は、郊外における新開発ではなく、既成市街地における街作りを対象として、そのための計画策定手法・策定手続を深めたものである。既成市街地ということで、権利関係も錯綜し、居住者が既に存在するため、計画策定過程における市民参加が不可欠となる。これまでも、このテーマに関しては、都市計画の視点から、市民参加と計画策定手続を扱った研究は多数存在する。こうした中にあって、本研究の特色は、上記の計画に関しては、そうした都市計画という政策分野に限定した視点からアプローチするのでは不十分であるという点にある。 近時では、都市計画の策定主体である地方公共団体が、自治体総合計画の変革に着手している。これは都市計画、街作り計画に限定した計画ではないが、現代行政の計画手法としては、斬新な手法を多数含んでいる。この計画手続では、例えば、予め市民に計画に関する情報が極めて大量に提供されたり、早期の段階で市民は参加することができるなどの制度的工夫が尽くされている。また、計画が実現した後には、独立性を有した第三者委員会が、計画評価を行い、計画内容・計画の進行管理・計画マネージメントについて提言を行うものとされている。 本研究では総合計画に見るイノベーションに着目して、こうした新しいタイプの総合計画の法的仕組みに、本研究の考察対象である街作り計画を位置づけていくこと、それを通じて、上記の斬新的特徴を街作り計画においても活用すること、こうした計画志制度結合により計画間調整を図るべきであること、を結論とした。 研究期間の最終年度にあたるため、以下に記すような形で、折を見て研究成果の公表に努めた。
|