本研究は2年を期間としたもので、第1年度たる昨年度は、基礎をなす作業にとりくみ、ます直接民主政にかんする研究文献に検討を加え、またスイスに赴いて、その直接民主主義制度を調査し、文献・資料の収集にあたった。これをふまえて、第2年度の本年においては、文献の研究を深め、また、アメリカ合衆国を訪ね、とくにカリフォルニア州の直接民主政、中でも従来よりわが国でも強い関心が寄せられている住民投票について調査した。こうした研究の進行の中で、大韓民国において憲法上定められている重要政策についての国民投票をも検討対象とし、その調査のためにソウル市に赴いた。 わが国で、この間に直接民主政にかんして顕著な動向がみられたのは、住民投票、とりわけ市町村合併についてのそれである。市町村合併は、住民生活のありようを決定する基本的問題であるだけに、住民投票の動きが全国各地で生じており、直接民主政研究にとっての重要なテーマである。そこで、該当の自治体に赴いて実態にふれ、調査した。併せ、国立国会図書館等で文献研究を進めた。 以上のような作業をとおして、本年度には、後掲(裏面11.欄)のとおり、スイスにかんしては、国家緊急法制にかんする研究、および政治過程を扱った研究を公にし、またわが国にかんしては、民主主義と立憲主義の関係を論じたものを発表した。 そして、今後、2年間に及んだ本研究の包括的成果として、現代民主政の原理および実態についての比較憲法的研究を内容とした書物の上梓を、できるだけ早く実現することを予定している。
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