サイバースペースでの知的成果物の保護と利用促進のための最適なシステム設計の研究のため、初年度である平成13年度においては以下の研究を行った。なお、ここでの、知的成果物という語は広義の意味において理解している。 まず、サイバー空間と対極をなす、リアルワールドにおける知的成果物の保護と流通に関する研究として、ビデオゲームを対象として、当該成果物の著作権法を始めとする知的財産法上の保護と流通性の両側面の研究を行った。この研究を通じて、知的成果物の保護の結果として生ずる市場への参入可能性の問題を検討した。 次いで、研究計画に示していたように、現在のネットワーク利用技術の理解を深めつつ、ネットワークに接続されたコンピュータ端末の認識手段であるドメインネームの全般的な間題を検討した。本研究期間中、この領域の変化はめまぐるしいものがあったが、米国、英国、フランス国及びドイツ国での状況を踏まえつつ、わが国での裁判例及び昨年の通常国会で成立した不正競争防止法改正案に対する分析と、未解決の問題、特に、ドメインネームの裁判外紛争解決手続と裁判所における紛争解決手続の架橋の問題を、外国法を参考としながら、解決のための提案を行った。 さらに、研究計画に示していた外国での研究調査を実施した。知的財産法の分野では、米国、EU及び日本における法制度研究が重要であると考えるが、研究調査では、予算及び期間の事情もあり、EU特にドイツの法制度を調査した。具体的には、ミュンヘン、マックスプランク国際知的財産法研究所を短期間ではあるが訪問し、関係者にヒアリング調査をした他、今後必要となるであろう関係資料を収集した。また、ミュンヘン、シュバイツア・ゾルティメントを通じて、次年度に必要となる関係書籍等の購入を行った。
|