研究課題/領域番号 |
13620054
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
紺谷 浩司 西南学院大学, 法学部, 教授 (00033738)
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研究分担者 |
加藤 高 広島修道大学, 法学部, 教授 (50079274)
田邊 誠 広島大学, 法学部, 教授 (40197512)
深谷 格 西南学院大学, 法学部, 教授 (70218882)
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キーワード | 民事判決原本 / 訴状受取録 / 府県裁判所 / 中国地方 |
研究概要 |
1 山口地方裁判所と広島地方裁判所において、毎月1回、明治前半期、特に明治15年ごろまでの「訴状受取録」などの裁判記録の調査を継続している。他に、国立公文書館において、主として裁判官の履歴を調査した。 2 広島地裁において、主に明治10〜11年の「訴状受取録」を調査しているが、同年に受付られた事件には、特に貸金返還請求事件(「貸金催促ノ訴」)が圧倒的に多いこと、しかも「身代限リ済口」で終結するものも相当多いこと(身代限りは現代の強制執行、済口は和解に相当するか)、事件の受付から終結に至る月日が短いこと、済口によって終結する事件が圧倒的に多いこと、裁許(判決)がなされる事件数はその年度、担当裁判官によってかなりばらつきがあることが分かった。裁判官の経歴についてはなお不明のものが多い。 3 「松江裁判所へ事務引渡書」(明治9年、島根県庁保管)は、府県裁判所から地方裁判所への組織替えに伴って移管された書物や器物などのリストであるが、当時の裁判所の様子を窺わせる格好の史料として、『明治前期の法と裁判』(信山社)において紹介した。 4 2月15日、16日の両日、「明治前期の法と裁判-その2、山口・広島-」と題する集中面接授業(計10時間)を、放送大学広島学習センターにおいて担当した。講義の内容は、府県裁判所時代から大審院を頂点とする裁判所への移行直後の時代の裁判所制度、当時の民事裁判の状況など、民事判決原本が国立大学で一時保管された後、国立公文書館で保管されるため再度移管されるようになった経過や、明治10年頃の世相を想起させるような事件を紹介し、これまでの調査の成果の中間報告のかたちで整理・報告をした。 5 裁判所制度の大枠が固まる明治15年頃までの民事判決原本のなかで、当時の社会・経済状況を窺わせるような事件の紹介を今後も続けて行いたい。
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