アメリカでは、2001年現在では、38州が家事調停についての立法をもっていた。裁判所付属の調停プログラムでは3分の2以上の裁判所で、調停による合意成立率、合意の履行率、調停者の調停運営方法や調停の進め方に対する意見や不満、再訴訟率など自らの調停サービスの自己点検・自己評価を制度化し、そこで得たデータをもとにサービスの向上とレベルアップが図られていた。 カリフォルニア州では、子の監護に関する調停事件が年間7万件以上あり、裁判所の調停では教育程度が低く所得水準の低い人たちが多かった。また、自己評価・自己点検の結果は、手続利用に対する満足度は90%の人が良かったと回答し、合意成立率も部分合意を入れると70%近くになり、父母の共同関係を築くのに役立つとしたものが79%にもなった。合意内容も公正であるとするものが87%にも及び、十分に話や思いが伝えられたとするものも63%であった。ただし、2年後の追跡調査では、満足度が20数%低下していた。 このようなアメリカでの調査方法や分析手法を参考にして、本研究では、東京を中心として、弁護士、家庭裁判所調停委員、調停利用者の調査を実施した。ただ、サンプルの取り方や回答数に偏りもあり、どの程度、実情を反映しえたか批判もあるかもしれないが、利用当事者だけでなく、弁護士や調停委員の職業、経歴、性別、専門性等による調停に対する取組み方、意見、要望、満足度、改善点などが明らかにできたと思う。なお、結果は、当事者や弁護士は経験者ほど調停の運営方法やあり方に疑問をもつものが多く、調停委員側ではサービスの質が向上していると肯定的であるものが少なくなかった。今後さらに、補充的調査や結果の分析を進め、成果を公表してゆきたい。
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