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2003 年度 実績報告書

潜在型被害の民事法的救済の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13620062
研究機関立命館大学

研究代表者

松本 克美  立命館大学, 法学部, 教授 (40309084)

キーワード潜在型被害 / セクシュアル・ハラスメント / PTSD / 欠陥住宅 / 戦後補償 / 消滅時効 / 除斥期間 / 国家無答責の法理
研究概要

1 潜在型被害で問題のなることの多い、不法行為責任を理由とした損害賠償請求権の消滅時効の起算点について、最高裁の新しい判決(平成14・1・29)をふまえて、従来の判例・学説、ドイツの時効法改革も踏まえた新たな起算点論(規範的認識時説)の提言を行う研究論文・判例批評を数本まとめた。
2 潜在型被害のうち性的人格権侵害の問題であるキャンパス・セクシュアル・ハラスメント、PTSD被害について、それぞれ大学の債務としての教育研究環境配慮義務、損害論・時効論に着目した研究論文をまとめた。
3 潜在型被害のうち財産的被害であると同時に安全で平穏に居住する権利の侵害でもある欠陥住宅被害について、請負契約上の瑕疵担保責任に基き建替費用相当額の損害賠償を初めて認めた最高裁平成14年9月24日判決をふまえて、次に課題となる居住利益控除論や建物減価償却費控除論などの損害調整論、慰謝料論について、裁判例の詳細な分析を行い、控除否定論、慰謝料における居住不利益要素の適正評価などの新たな提言を行う論文を発表した。
4 総合的な潜在型被害である戦争犯罪被害にういては、ドイツで文献・資料を収集するとともに、近時の戦後補償訴訟における時効論・除斥期間論の現状と課題を分析する論文を発表し、また、戦前の「国家無答責の法理」について、明治憲法、行政裁判法、裁判所構成法、旧民法典、明治民法典の立法過程での国家賠償責任をめぐる立法史と議論を分析し、当時は必ずしも判例・通説が指摘してきたような「国家無答責の法理」を実現する法制度の確立はむしろなく、また、民法典起草者たちは、官吏の不法行為について国家が賠償責任を負うことを当然視、原則視していたこと、国家がお上であるという理由で賠償責任を負わないのは、憲法にもとるとまで認識されていたことを明らかにする論文を執筆した。この点を明瞭に指摘するのは日本で初めてである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 松本克美: "キャンパス・セクシュアル・ハラスメントと大学の法化--債務としての教育研究環境配慮義務論の提起"岩波・科学. 73巻・3号. 241-243 (2003)

  • [文献書誌] 松本克美: "民法724条前段の時効起算点--現実認識時説から規範的認識時説へ"立命館法学. 286号. 243-287 (2003)

  • [文献書誌] 松本克美: "PTSD被害と損害論・時効論"立命館法学. 288号. 32-84 (2003)

  • [文献書誌] 松本克美: "欠陥住宅訴訟における損害調整論・慰謝料論"立命館法学. 289号. 64-98 (2003)

  • [文献書誌] 松本克美: "時効・除斥期間論の現状と課題"法律時報. 76巻1号. 37-43 (2004)

  • [文献書誌] 松本克美: "「国家無答責の法理」と民法典"立命館法学. 292号. 317-382 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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