平成13・14・15年度の3ヶ年にわたる本研究のうち、本年度は、おもに、論文執筆およびアンケート・聞き取り調査実施のための文献・情報収集とその整理を行った。 具体的な研究活動としては、まず、わが国における小規模・閉鎖会社関連の事例につき情報収集した。なかでも、小樽商科大学教授青竹正一氏の著書「閉鎖会社紛争の新展開(2001年刊)」は、本研究をおこなうにあたり貴重な示唆を与えてくれた。 また、平成11年9月、東北・関東内の酒醸造業者のうち合名会社・合資会社・有限会社に対してアンケート調査を実施したが、その調査結果を再度、整理・分析した。詳細な結果については、あらためて論文等で発表するが、一点のみ指摘するならば、合名会社・合資会社組織の特徴(社員の責任、運営・管理形態)に対する認識・理解が低いということである。これは、平成10年に東京証券取引所上場全企業(1831社)にアンケート調査を実施したときとは対照的であった。ただし、設問にも問題があったと思われるので、現在、設問について再度、検討中である。 さらに、平成14年3月現在、本研究の一環として、関東短期大学紀要に発表のため、原稿執筆中である(仮称:「信用組合の理事のした融資決済に対する善管注意義務違反事例の研究」大阪地判平成13年5月28日)。これは、研究ノートとして位置づけており、小規模会社・団体の運営事例を対象としている。なお、とりかかりが遅かったため時間的制約から、本紀要への掲載は本年度ではなく次年度となる場合も十分に考えられる。平成14年度は、引き続き資料収集を行っていくほか、本年度に収集・分類・分析した資料につき検討をくわえる。また、進捗状況によっては、アンケート調査を実施する予定でいるが、アンケート調査実施の際、十数社から聞き取り調査に対する承諾を得ているのでこれも実施したい。
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