研究概要 |
本年度は、次のような調査研究を行った。 1 基礎的調査 本研究における比較法的研究として、米国,英国、ドイツにおける専門職業(弁護士業)における広告規制に関する資料収集(判例、学説等)を行った。その中で、規制内容は個々の国の専門職業の社会的役割によって大きく異なること、および自主規制の内容は各国において地域ごとに大きく異なることが明らかになった。 今後、実態調査(2参照)により利用者のニーズを的確に把握し、利便性の向上をいかに図るかという視点から、広告規制のあり方をさらに具体的に検討していく予定である。 2 消費者(利用者)のニーズに関するヒアリング調査 弁護士サービスの利用者が広告に何を求めているか、現状の広告の実態をどのように考えているのかという点について、消費者団体(全国レベル)にヒアリング調査を行った。その中で、特に、専門性情報についてのニーズが高いこと、および現状の弁護士広告における専門性情報の内容が利用者のニーズに適合していないことが明らかになった。 3 地域ごとの自主規制の内容及ぴ利用者ニーズの把握 上記1および2から明らかなように、弁護士会による自主規制の内容および利用者のニーズは、国、地域によって大きく異なることが明らかになった。したがって、次年度においては、高度な専門性情報(知的財産権分野等)が必要とされる大都市、県庁所在地のような地方中堅都市、及び過疎地域における広告自主規制について、各弁護士会による規制内容の把握、利用者ニーズの具体化を図るべく、より広範囲にわたるヒアリング調査を行う予定である。それは、わが国の実態に即して、あるべき法的規制を考察することが、特に必要であると考えられるからである。
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