研究概要 |
本年度は、次のような調査研究を行った。 1 基礎的調査 本研究における比較法的研究として、EU,ドイツおよびイタリアにおける専門職業(弁護士業等)における広告規制に関する資料収集(判例、学説等)を行った。その中で、規制内容は、個々の専門職業の杜会的役割によって大きくことなること、特に、報酬規定については、規制は様々であること(ドイツには、弁護士について最低報酬制限規定が存在し、また、イタリアにおいては、弁護士業がいわゆるプロフェッションであることの認職が非常に強く、報酬規定の自由化には、非常に強い反対があること)が明らかになった。このように各国において、規制内容が異なるにもかかわらず、EUにおいては、専門職業サービス市場の統合化に向けての取組みを本格的に開始していることも明らかになった。この各国の規制の動きについては、最新の状況をも含めて、研究成果として公表する予定である。 2 わが国における弁護士報酬規定規制の動向に関する調査 弁護士法改正によって、弁護士報酬規定が改正されたことをうけて、弁護士報酬規定がどのように運用されるのか、日本弁護士連合会の運用方針に関して、資料収集およびヒアリング調査を行った。改正法の施行は、平成16年4月からになるために、具体的な運用は、必ずしも明らかにはなってはいないが、見積書交付を義務づけるか等、今後、検討するべき争点は、残されていることが明らかになっている。また、消費者団体とのヒアリングを通じて、利用者の利便性を高めるという視点からの検討の必要性が高まっているとの認識を得た。 3 研究成果のまとめ 上記1および2から明らかなように、比較法的研究を踏まえたうえで、わが国の専門職業における広告規制についての具体的検討が必要である。今年度で、この研究は、終了するが、比較法的研究(米国、EU等)、わが国における規制についての考察をまとめ、随時、公表する予定である。
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