研究課題/領域番号 |
13620072
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
前田 雅英 東京都立大学, 法学部, 教授 (60009842)
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研究分担者 |
星 周一郎 信州大学, 経済学部, 助教授
亀井 源太郎 東京都立大学, 法学部, 助教授 (90305409)
木村 光江 東京都立大学, 法学部, 教授 (50169942)
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キーワード | 児童虐待 / 不正アクセス / ストーカー / DV / 治安悪化 / ハイテク犯罪 |
研究概要 |
最近登場した、少女買春防止法、児童虐待防止法、不正アクセス禁止法、ストーカー防止法、DV防止法などの新立法は、まさに現代的社会状況に対応しようとして立法されたものであるが、従来の刑事法理論からみると、保護法益を拡張する側面を有し、不当な処罰範囲の拡大も懸念された。そこでまず、警察庁の協力を得て、全国的なこれらの法律の実施状況を調査・分析し、それに対応する刑事司法・警察組織の実態を把握した。また、警視庁、神奈川県警、北海道警、長野県警を訪問し、各県における児童買春・児童虐待・ストーカー各法の実施状況、各県警が把握している事件数、それに対応する組織の現状と課題、DV法に対してどのような準備状況にあるのか、これらの法の実施が警察の相談業務にどのような影響を与えているのかを把握した。その結果、(1)児童虐待件数(認知件数)が急上昇していること、(2)児童ポルノに関しては、規制の効果がかなり生じていること、(3)児童買春の摘発もかなり行われていること、(4)不正アクセス禁止法は、ハイテク犯罪対策としては必ずしも十分なものとはいえず、実効性に限界があること、(5)ストーカー防止法は、それ自体の摘発は必ずしも多くはないが、脅迫罪、住居侵入罪、名誉毀損罪などの関連刑法犯の認知件数の急激な増加をもたらしていること、(6)DV法の実施に関しては、地方の相談所の準備にかなり問題が残されていることが明らかになった。さらに、インターネット犯罪の研究を海外の文献などにより行った結果、IT関連犯罪に関する立法的な対応が急務であることが明らかになった。そして、新しい処罰の要請に応える保護法益論が要請されているといえよう。
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