2001(平成13)年度の調査研究を踏まえ、日本における薬物依存症者の自助グループである(ダルク、フリーダム、NAなど)を継続的に調査するとともに、2000年4月に来日したアメリカの暴力被害者のための社会復帰支援グループであるアミティの実態調査を行い、その日本への影響について調査研究を実施した。 前年度(2002年3月)、アリゾナ州ツーソンおよびカリフォルニア州ロサンゼルス所在のアミティ施設を訪問調査した。その成果をまとめて、日本の関係者に報告し、意見を聴取した。2003年3月には、カリフォルニア州ロサンゼルスおよびハワイ州ホノルルの郡および州のドラッグ・コート(薬物専門裁判所)を訪問調査し、処遇プログラムのプロバイダーの活動についても実態調査を実施した。その結果、アミティやNAなどの自助グループについては、高い評価が与えられていることが明らかになった。 国内においては、龍谷大学矯正・保護研究センターのアカデミック・フロンティア事業(AFC)「21世紀・新『刑事政策』プロジェクト(NCRP21)」および厚生労働省科学研究補助金医薬安全事業「薬物依存・中毒者の予防、医療およびアフターケアのモデル化に関する研究」と協力して、薬物依存症者および触法精神障害者の社会復帰のための処遇プログラムを作成中である。また、京都においては、「京都でアミティを学ぶ会」と協力して、セミナーやミーティングを5回開催し、薬物問題の啓発活動として、日本ダルク、大阪ダルク、大阪弁護士会、龍谷大学、横浜ダルクなどにおいて、研究の成果を発表した。 次年度に向けて、具体的な薬物依存症からの回復プログラムの設計や広報教材の開発を準備している。
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