平成13年度14年度に引き続き、外国人集住都市をめぐる問題について資料を収集し、愛知県豊田市、静岡県浜松市等の主要な自治体の政策動向を把握した。3年目にあたる「外国人集住都市会議」はやや行き詰まりの感があり、国際化と言うスローガンの下に国の外国人政策の調整を目指す路線(浜松市)と、各自治体ごとに主要企業や業務請負会社を含む主要関係主体の参加によって問題解決を図る路線(豊田市)に分岐しつつある。豊田市では、豊田自動車以下、主要な関与主体が日系人問題や団地問題に関与しており、問題解決の領域が生活や消費に関連する自治体のみならず、企業の内部にも関わる動きが見られ、注目に値する。国境を越えて移動する日系人労働者、その家族、ブローカー、彼らを使用する業務請負業者、請負業者を使用する下請け企業群、主要企業さらには、地方自治体、学校、団地自治会等にまたがるグローバル/ローカル問題を構成しており、問題解決もこうした多主体に及び、各主体の調整なしには解決困難であることが改めて確認された。一方、国のレベルでは、少子化高齢化の進行とともに、外国人労働者の受入れ論議が再浮上してきており外国人集住都市の今後の動向に影響を与える可能性がある。しかし、そうした省庁レベルでの外国人受入れ論議には、現在生じている外国人集住都市の抱える問題や問題解決への努力がほとんど反映されていないのは大きな問題であると感じた。また研修生・技能実習性を多数抱える中小都市でも外国人が増加し外国人問題の危機管理が必要とされている。そのため、日系人の集住都市とは別の意味で外国人管理のリスクの問題を抱えるケースについても調査分析した。本年度は最終年度に当たっているため、本企画が目指した外国人集住都市における紛争解決メカニズムとリスク管理の有り方について報告書をまとめ、併せて外国人労働者受入れ論議との関連を探った。
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