本研究は、以下の2つの研究計画に基づいて実施された。 1)比較政治理論に関する研究:アメリカやドイツで展開されている最新の理論状況を検討するとともに、それを実態分析へと適用するためにどのような作業が必要か、という点についての研究を行った。具体的には、二度にわたる訪米により、アメリカ政治学会大会の比較政治部会やデューク大学で開催された比較政治理論に関する国際研究会議などの研究会等に参加することを通じて、理論動向に関する知見を深めるとともに、それを日本の政治学教育へどう生かすか、という点についての検討も行った。これらの点については、すでに研究論文などの形で研究成果公表済みである。実態分析については第二の計画で実施した。 2)先進諸国政治の現代的変容に関する実態分析:日本政治の分析をも念頭におきながら、この間大きく変容しつつあるドイツ政治について、二度の実地調査を踏まえながら実証的に検討した。具体的には、2001年10月と2002年9月に訪独し、政党関係者からドイツ政治に関するヒアリング調査を行うとともに、ベルリン自由大学のドイツ政治研究者とも討論を行った。また2回目の訪独では、9月22日投票のドイツ総選挙について実地調査を行い、大量の資料収集も行った。帰国後の2003年2月には、研究会で「2002年秋のドイツ総選挙について」と題する研究発表を行った。またドイツに関しても、政治理論の研究動向を検討し、知見を深めている。
|