日本の中央省庁(12省)について、1962年から1999年を対象に、省ごとの予算を「使途別分類の構成比の変化を追跡した。目的は、省の仕事の仕方すなわち実施体制の変化を経験的に把握することであった。 使途別分類による予算分類を、ダンレベィ教授の組織形成に関する理論を参考にして、中核予算、組織的予算、プログラム的予算にまず分類した(特別会計への繰入の処理は特に工夫を要した)。続いてその経年的な変化を追跡した。その結果、省によって、差があるものの中核予算の構成比は減少しており、中央省庁はその仕事を次第に(地方自治体を含む)他の行政機関や民間に委ねていることが明らかとなった。 ただし、同時に行った機構レベルの変化(内部部局)の再編とは必ずしも明確には連動しておらず、実施体制と機構とは所の論理で動いていることが読み取れた。 以上の分析から、機構の変化は必ずしも実施体制の変化をもたらしておらず、その意味では「入れ物」を変えただけと言わざるを得ない面もあるが、同時に、実施体制もまた継続的に変化しており、行政機関は姿は変えても中身は変わらないという批判は当たらないこともまた明らかになった。 実施体制と環境の関係、すなわちどのような環境変数が実施体制の変化をもたらしているかは、省によって様々であり、報告書に譲らざるを得ない。
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