研究課題/領域番号 |
13620089
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玉田 芳史 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (90197567)
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研究分担者 |
横山 豪志 筑波女学園大学, 文学部, 講師 (80320381)
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50253290)
片山 裕 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10144403)
前田 浩 岡山大学, 法学部, 助教授 (20229313)
木之内 秀彦 鈴鹿国際大学, 国際学部, 助教授 (00204941)
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キーワード | 民主化 / 東アジア / 東南アジア / 市民社会 / 政治学 / 地域研究 / 韓国:フィリピン:タイ:インドネシア:カンボジア |
研究概要 |
本研究は東・東南アジア諸国の民主化を比較と歴史の両面から分析することを目的とし、地域研究者と理論研究者から組織されている。本年度は、メンバーは各自の役割分担に応じて、研究課題について個別に研究を進める一方、4回にわたって研究会を開催した。さらに、メンバーは電子メール等を通じて頻繁に意見交換を重ねた。 こうした作業により、アジア研究者と理論研究者の間のみならず、アジア研究者同士の間でも、民主化過程に関して理解に大きな相違があることが判明してきた。市民社会を共通項として民主化を比較しようと試みると、市民社会という概念が指示する具体的な内容について理解に大きな隔たりがあることが明らかになった。また、信頼を核とする社会資本概念についても同様な理解の食い違いがみられた。こうした概念をめぐる食い違いに加えて、歴史的視野についても、民主化の過程をどの程度の時間軸で眺めるかという点で意見の相違がみられた。こうした違いは研究者の個性よりも、各国研究の特徴や癖に由来するところが大きいようである。 アジア諸国の民主化過程を比較するともっぱらこうした相違点のみが浮かび上がってきた。共通要因を析出するには、アジアの外から、端的には理論研究の鳥瞰的視点からの観察が不可欠である。そうした観点から、民主化の実現には国家の秩序形成・維持能力が重要な意味を持つのではないかという提起がなされた。秩序の意味内容がまだ明確ではないものの、この点を突破口として民主化の共通要因の発見に努めることが確認された。
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