研究課題
基盤研究(C)
本研究は東・東南アジア地域諸国の民主化過程を説明することを目的としていた。この地域には過去20年間に民主化が進んだ国が多くある。東アジアでは韓国と台湾、東南アジアではフィリピン、インドネシア、東ティモール、タイ、カンボジアである。これらの国々は民主化の定着を目指しつつある。しかし、この地域の政治は多様であり、社会主義一党独裁(中国、北朝鮮、ヴェトナム、ラオス)、軍事政権(ミャンマー)、専制君主制(ブルネイ)、権威主義的な民主主義(シンガポールとマレーシア)の国もある。本研究はこの地域で民主化が観察された国の中から韓国、フィリピン、インドネシア、タイ、カンボジアの5カ国を選び、それぞれの国を専門とする地域研究者が民主化過程を研究した。さらに、地域研究者が陥りがちな一国主義の弊を避けるために、ヨーロッパ国制史と政治理論の研究者を加えて、比較と歴史を視野にいれつつ、解明を試みた。事例の相互比較を通じて、各国の民主化過程についてはいろんな特徴が明らかになってきた。それに加えて、一般的な特徴として確認できたのは次の4点である。第一に、民主化過程が始まる契機は一様ではなく、国ごとに違いがみられる。第二に、民主政治の定着は、権威主義体制の崩壊よりもはるかに難しい。第二に、民主化には少なくとも20年ほどの時間が必要であり、それゆえ長めの時間軸を設定して分析しなければならない。第四に、民主化にあたっては政治エリートが重要な鍵を握る。
すべて その他
すべて 文献書誌 (14件)