研究課題/領域番号 |
13620099
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10305675)
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研究分担者 |
藤井 篤 香川大学, 法学部, 助教授 (90222257)
津田 由美子 姫路獨協大学, 法学部, 助教授 (30247184)
阪野 智一 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (10162299)
古田 雅雄 神戸市外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師
水島 治郎 甲南大学, 法学部, 助教授 (30309413)
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キーワード | EU / 政党 / 保守主義 / 政策 / 政治思想 / 市場統合 / 通貨統合 / 新自由主義 |
研究概要 |
本研究の目的は、21世紀のEU諸国における保守政党あるいは中道右派勢力がいかなる選択肢をもちうるのかを、明らかにすることにある。EUは1999年から経済通貨統合の第3段階に移行し、それにともなって欧州中央銀行が設立された。欧州中央銀行は共通通貨参加各国から独立した通貨政策をとることになったが、これが均衡財政、インフレ抑制、通貨安定を3本の柱とするサプライサイドのマネタリスト的政策を基本原則としていることは明らかである。したがって共通通貨参加各国政府は、こうしたネオ・リベラリズムを前提とした経済・財政運営を余儀なくされることになったのである。しかし、それは1980年代に台頭したネオ・コンサーヴァティズムを標榜する諸勢力によって提起された「革新的な」経済・財政政策が、加盟各国の政策決定のなかに構造化され、制度化されたということを意味していた。いいかると、それはネオ・コンサーヴァティズムの政治的な「勝利」を意味すると同時に、その政策的「革新」能力の枯渇をも意味していた。とりわけEU各国に誕生した社会民主主義政党を中心とする中道左派政権が、ネオ・リベラリズムを基本原則とする経済・財政政策を受容したことから、野党化した保守政党や中道右派勢力は、ネオ・リベラリズムを超えた新たな政策的「革新」を提起しないかぎり、独自の政策的選択肢を提起できないという状況に陥ってしまったのである。こうした保守政党や中道右派勢力にとって、政策的「革新」ははたして可能なのであろうか。引き続きこの問題に取り組んでいきたいと考える。
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